【MMD】柔軟剤プラグイン解説(応用編)

柔軟剤プラグインを普通なら適用できない形のスカートにどうにかして適用したい場合の姑息で強引な技を紹介する。

【適用が難しいパターン1】
以下のように材質が分かれていたり、複雑な装飾がついていたりする場合。



まずは最もシンプルなポリ割で面積の多い「ベース生地」に使えるパーツを探す。
この例だと表布または裏地がベース生地にするのに丁度よい。

とりあえずベース生地にのみ普通に柔軟剤を適用する。
そうすると、適用した表布だけ布っぽくなり、フリルや音符や裏地が取り残されてしまうはずである。


ここからフリルなどにもベース生地と同じ動きをさせるための方法が2つに分かれる。


プランA:雑な方法
スカートと一緒に動いてほしいパーツを絞り込み表示し、全選択し「近位置ボーンでウェイト設定」を実行するだけ。楽だがウェイトは粗くなる。
※「選択ボーンのみ」のチェックは外しておく



プランB:ウェイト転送する方法
柔軟剤を適用したベース生地のみを絞り込み表示し、全選択してウェイト転送プラグイン
https://bowlroll.net/file/375
でウェイト情報を外部ファイルとして一時保存する。



保存したら逆にベース生地以外のフリルや裏地のみ全選択し、保存したウエイト情報を読み込んで適用する。



そうするとこんな感じにベース生地のウェイトが他のパーツに塗られるので、一体として動くようになる。




注意点としては

・プランAの近位置ボーン塗りよりはプランBのウェイト転送の方が仕上がりは綺麗になる

・リボンや名札プレートなど、ベース生地から大幅に出っ張るような装飾は上手く変形しない
(例えばリボンは結び目の根元に近いスカートボーン単体100%でウェイトを塗るほうが綺麗になる)

・ひだが立体的なスカートや多重構造のスカートにも一応この方法で適用できるが、細かいめり込みは発生しやすい


【適用が難しいパターン2】
こういうスリットが複数入ってる構造。
裾がタコ足状に分かれて広がっている場合も同じ。


まずパターン1の方法と同じく「スリットが入ってないシンプルなベース生地」を用意して(用意できない場合は材質コピーや結合を活用して自分で作る)、ベース生地に柔軟剤を適用してからウェイトを本命の材質に転送する。

そうすると物理演算で動くようにはなるが、実際にはスリット部分の剛体はジョイントで横に繋がっているので、切れ目が無いのと同じような挙動になってしまう。
(↓スリット部につられて周りの布まで持ち上がっている)



そこでスリット部分のジョイントを削除することで物理的にも切れ目を入れる。
削除するときは操作対象を”J”だけにし、ジョイント表示サイズを小さくすると選択しやすい。

また、スリットの形状にもよるが、基本的にはスリット部分の「横ジョイント」と「斜めジョイント」のみ削除すること。


上手くジョイントを削除できれば、物理演算でもスリットできちんと切れている動きになる。



【適用が難しいパターン3】
ワンピースやコートのように袖まで一体になっている服の裾だけ物理を入れたい場合。


これは単純に「段組み取得」を実行する前の始点選択の際に、物理を入れたいスタート地点の横列を選択すればよい。
柔軟剤プラグインは服の上端ではなく途中から選択してもいいのである。



要は物理を入れたい範囲のトポロジー(この場合は裾のあたり)が適用可能な構造であれば、首周りや袖などの無関係な部分は複雑な形状をしていても関係なく適用できる。



■まとめ

「複雑な形状の場合はシンプルなトポロジの別材質をベース生地として一時的に用意して、そちらに柔軟剤を適用してからウェイト転写する」

「布の切れ目(スリット)は、後から剛体やジョイントを消すことで作れる」

という考え方を覚えておけば柔軟剤プラグインを使える範囲が広がる。

とりあえず以上!